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タンパク尿の原因は更年期?

タンパク尿は体からの小さなサインであり、その原因は一時的なものから病気の前兆まで多岐にわたります。

私たちの体の中では、血液が絶えず循環して栄養を運び、老廃物を回収しています。
その血液をろ過して「尿」を作るのが、腰のあたりに左右一つずつある腎臓です。

タンパク尿とは

高血圧は腎臓の細い血管に負担をかけるため、結果としてタンパク尿が出やすくなります。
また女性ホルモンが減少すると血糖値を下げるインスリンというホルモンが効きにくくなり(インスリン抵抗性)し血糖値が上昇し、閉経前までは皮下に蓄えらえていた脂肪は、内臓脂肪となってしまうため脂質異常症も悪化傾向になり、糖尿病や脂質異常症になりやすくなります。
これらも腎臓の末梢血管を痛めるため、慢性腎臓病を悪化させます。

本来、タンパク質は体にとって大切な栄養素なので、健康な腎臓であればフィルターを通り抜けず、血液中に回収されます。
しかし、このフィルターに何らかの不具合が起きると、本来漏れてはいけないタンパク質が尿の中に混じってしまいます。
これが「タンパク尿」ですが、現在の日本では、テープによる尿検査でも診断できるので、検診で指摘される人は良くいます。

「タンパク尿」には、3つのタイブがあります。

生理的タンパク尿

あまり心配のないタンパク尿は、「生理的タンパク尿」と呼ばれるタンパク尿です。
激しい運動、発熱、過労などで一時的に尿蛋白(+)になることがあります。
しかし安静にしていれば、タンパク尿は改善します。

起立性タンパク尿

さらにもう一つ持続するタンパク尿の中には、「起立性タンパク尿」という状態があります。
若者が検診で良く引っかかるタイプです。
立っているときだけタンパク尿が出て、寝ているときには出ないというものです。
主に10代のやせ型の人に多く、成長とともに自然消失します。
診断は、早朝尿と日中尿を持参してもらい尿検査をします。

持続性タンパク尿

持続性タンパク尿の中で注意が必要なのは、腎臓そのもの、あるいは全身の病気が原因でフィルターが壊れているケースです。
慢性腎臓病(CKD)と呼ばれますが、これは腎臓の機能が低下した状態を指す総称です。
一部の人は腎機能が低下して、最終的には人工透析に至る可能性があります。
原因は、糖尿病や高血圧、 慢性腎炎などです。

「更年期に入ってからタンパク尿を指摘されるようになった」という方は少なくありません。
50歳前後の更年期になると血管を守っていた女性ホルモンが低下し、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病が発症してきます。
(男性は、40歳くらいから生活習慣病のリスクが増加してきます。)

” タンパク尿 “と” 更年期 “の関係性

更年期以降になると、咳やくしゃみの時に漏れる腹圧性尿失禁や、急に強い尿意があり漏れてしまう切迫性尿失禁は増加傾向にありますが、尿漏れとタンパク尿は直接には関係ありません。

しかし更年期以降になると女性ホルモンの低下によりGSM(閉経関連尿路性器症候群)が50%の女性に起こり、腟や外陰の粘膜や皮膚が弱くなり、再発性膀胱炎や細菌性腟症の発症が増加します。

炎症があると粘膜の脱落や白血球増加が起こります。
白血球は細胞で、細胞はたんぱく質でできています。
それで「腎臓から出たタンパク」ではなく、「出口付近で混ざったタンパク質(粘膜や白血球など)」が入ってしまい、結果として「タンパク尿(陽性)」と判定されることがあり、この場合は検査上の「偽陽性」となります。

疑わしい場合は、尿カップに自排尿で採尿するのではなく、カテーテルで尿を採る導尿による検査が必要になります。

タンパク尿を指摘されたからといって、すぐに「人工透析が必要な重い病気だ!」と心配する必要はありません。

一時的なもの(生理的タンパク尿)かどうかを確認するため、日を改めてもう一度検査することが大切です。

さらに経過観察が必要なタンパク尿だった場合には、定期的に通院するとともに、家庭での血圧測定や減塩、脱水予防のための充分な飲水などの生活習慣の確立が必要です。

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関口 由紀

関口 由紀

研究員番号: 1

神奈川県横浜市出身の医師。日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本東洋医学会専門医・指導医、日本性機能学会認定専門医、日本排尿機能学会認定専門医、日本女性骨盤底医学会認定専門医、医学博士、経営学修士。 女性医療クリニックLUNAグループの理事長、横浜市立大学大学院医学部泌尿器病態学客員教授を務める。

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